クラウド管理スタートアップ for AWS (監視編)

作成日 2014/5/2
更新日 -

はじめに

概要

本技術情報は、Hinemosが持つ監視機能と、Hinemosクラウド管理オプション for AWS によって追加される監視機能を使って、AWS上のシステムを監視管理するための方法について、チュートリアル形式で体験していただくドキュメントです。

本ドキュメントで解決する課題

AWS環境では、従来のオンプレミス環境でのサーバの監視を行うだけでは、システムの監視として不十分な場合があります。

例えば、個々のサーバの状態だけでなく、クラウドサービスそのものが正常に動作しているのかといった点や、クラウドサービスからの課金(料金)が今どのようになっているのかといった点を、システムとしては把握する必要があります。

本ドキュメントを体験いただくことで、Hinemos本体が持つ監視機能の一部と、クラウド管理オプション for AWS の監視機能を実際に使用し、Hinemosとクラウド管理オプションによって、AWS上のシステム監視を簡単に実施できることを体感いただきます。

前提条件

本技術情報は、AWSのアカウントを既に取得済みで、AWS Management Consoleを使用できる環境を持つことを前提とします。

本ドキュメントでは、Hinemosクライアントをオンプレミス環境にインストールしますので、Hinemosクライアントをインストール可能なWindowsマシンを用意してください。

HinemosによるAWS監視の概要

Hinemos標準機能による監視

Hinemosは標準で数多くの監視機能を保持しております。Hinemosが標準で持つ監視機能は、監視対象のIPアドレスをターゲットとして、各種監視を行います。

そのため、クラウド管理オプションを導入していない場合であっても、EC2インスタンスのIPアドレスが分かれば、Hinemosが標準で提供している監視機能を使用することが可能です。

 
クラウド管理スタートアップ
 

Hinemosは無償で公開しておりますので、Hinemos標準の監視であれば無償で利用可能です。

クラウド管理オプション Standard版の監視機能

Hinemosにクラウド管理オプション Standard for AWS を導入すると、EC2インスタンスの各種情報を自動的に取得することができるようになります。これにより、Hinemosの標準の監視機能を設定する際には、自動登録済みの監視対象を選択するだけで監視を行うことができるようになります。(上記のEC2インスタンスの情報を取得する機能は、「EC2インスタンスの自動検知」と呼び、「クラウド管理スタートアップ for AWS(自動化編)」にて解説しております)

これに加え、クラウド管理オプション Standard for AWS によって、AWSサービスの課金情報を監視することができるようになります。当月のAWS利用料金がいくらになった場合にアラートをあげる、といった使い方をすることで、サービスの無駄使い・使いすぎの検知をすることが可能になります。

CloudWatchより、 Estimated Charges のメトリックスを取得することで、EC2やS3、RDSといったサービスの利用料金がいくらになっているかを監視します。

クラウド管理スタートアップ
 
 

クラウド管理オプション Standard for AWS は無償で公開しておりますので、この監視は無償にて利用可能です。

クラウド管理オプション Enterprie版の監視機能

クラウド管理オプション Enterprise版 を導入すると、クラウド管理オプション Standard版 の監視機能に加え、次のような監視機能が使えるようになります。

クラウド監視
AWSのサービスインフラが正常か否かを監視することができます。これはAWSの「ServiceHealthDashboard」から情報を取得し、Hinemosで監視しています。
 
クラウド管理スタートアップ
 
クラウドリソース監視

EC2インスタンスのリソース値を監視することができます。サーバのリソース監視はHinemos標準の監視機能である「リソース監視機能」でも可能ですが、本機能ではAWSの「CloudWatch」経由で値を取得するため、SNMPサービスを必要としません。これにより、例えばEC2インスタンスのCPU使用率(EC2.CPUUtilization)や、ELBのリクエスト処理数(ELB.RequestCount)などといった、リソース値を監視することができるようになります。

クラウド管理スタートアップ

 

 

Hinemos標準機能とクラウド管理オプションStandard版による監視

本章では、以下の内容を体験します。
 
Hinemos標準機能(PING監視)を使ってEC2インスタンスの死活監視を行います。
クラウド管理オプション Standard版の機能「クラウド課金監視」を使って、AWS利用料金の監視を行います。

 

事前準備

本章で記載している手順は、クラウド管理スタートアップ for AWS(環境構築編)に記載された、
 
AWS側の準備
Hinemosのセットアップ

 

に従って、AWS上にVPCのセットアップが完了しており、クラウド管理オプションが導入済みのHinemos環境を用意、AWSのアカウント情報をHinemosに登録したことを前提としています。

 

監視の出力先(通知)の変更

Hinemosでは、各種監視を行った結果を、どこに出力するかの設定が可能です。また、継続して取得される情報を、どのタイミングで出す・出さない(状況が変化したときのみ出すのか、常に出力し続けるのか、など。Hinemosでは「通知の抑制」と呼びます)をコントロールすることが可能です。本ドキュメントの以降の監視設定では、「監視[イベント]」ビューに全ての監視内容を出力する形とするため、ここでは全ての情報を出力するように通知設定を変更します。
 

1. HinemosクライアントからAWS上のHinemosマネージャにログインします
Hinemosクライアントを起動し、接続[ログイン]ダイアログで以下の内容を入力します。

ユーザID
hinemosと入力します。
 
パスワード
hinemosと入力します。
 
接続先URL
 
 
xxx.xxx.xxx.xxx は、Hinemosマネージャインスタンスの作成で作成したインスタンスに付与されているPublicIPになります。AWS Management Console 上で、Hinemosマネージャインスタンスを選択し、『Public IP』の項目に表示されたIPアドレスとなります。
 

2. 「監視設定」パースペクティブを開きます
メニューから「パースペクティブ」→「パースペクティブ表示」を選択して、 「パースペクティブを開く」ダイアログを開きます。

クラウド管理スタートアップ
 

「監視設定」を選択し、OKを押下します。

クラウド管理スタートアップ
 

各種監視設定を行うための「監視設定」パースペクティブが表示されます。

クラウド管理スタートアップ
 

3. 通知設定を変更します
「EVENT_FOR_POLLING」をダブルクリックし、「通知(イベント)[作成・変更]」ダイアログを表示します。

クラウド管理スタートアップ
 
ダイアログの以下の内容を修正し、「OK」を押下します。
 
同じ重要度の監視結果が「2」回以上連続した場合に初めて通知する、の値を1に変更
重要度変化後の二回目以降の通知を「常に通知する」に変更
 
以上で、通知設定が変更されます。以降の章では監視結果の通知先をここで設定した通知設定とします。
 

Hinemos標準機能による監視(EC2インスタンスの死活監視)

ここでは、Hinemosが標準で持つ監視機能の1つ(PING監視機能)を使用して、EC2インスタンスの死活状態を監視してみます。
 
1. HinemosクライアントからAWS上のHiemosマネージャにログインします
 
2. リポジトリパースペクティブを開きます
「リポジトリ」を選択し、OKを押下します。
 
クラウド管理スタートアップ
 
 
Hinemosの管理対象の情報を管理するための「リポジトリ」パースペクティブが表示されます。ここには、Hinemosに登録済みの管理対象ノードが一覧表示されます。
 
クラウド管理スタートアップ
 
 
クラウド管理オプションを導入していると、ここには自動検知機能によって取得された、EC2インスタンスの情報一覧が自動的に登録されます。(Standard/Enterprise共通機能)
 
3. 「監視設定」パースペクティブを開きます
 
 
4. 監視設定を行います

定期的にPING監視を実行する監視設定を、事前に作ったPING監視用スコープに対して設定します。以下の手順で監視設定を追加します。

 

4.1. 作成ボタンをクリックして監視種別ダイアログを表示します

クラウド管理スタートアップ

 

4.2. PING監視(数値) を選択して「次へ」を押下します

クラウド管理スタートアップ

 

4.3. ping[作成・変更]ダイアログに必要な項目を入力し、「OK」を押下します

監視項目ID
PING-001と入力します。
 
スコープ
「参照」ボタンを押し、監視ターゲットとしたいインスタンスを選択します。
 
間隔
1分を選択します。
 
通知ID
「選択」ボタンを押し、「EVENT_FOR_POLLING」の左側にチェックを入れ、「OK」を押下します。
 
アプリケーション
PING-001と入力します。
 
その他
標準の値のままとします。
 
 

以上で監視設定[一覧]ビューに、PING監視設定が追加されます。通知ID(通知する先)を変更・カスタマイズすることによって、監視結果をメールに出力したり、監視結果をもとにジョブを起動したり、といった様々な出力を行うことが可能です。

 

5. 現在の監視結果を確認します

PING監視設定を追加してから数分経過してから、現状の監視結果を確認します。メニューから「パースペクティブ」→「パースペクティブ表示」を選択して、「パースペクティブを開く」ダイアログを開き、「監視」を選択してOKを押下します。

クラウド管理スタートアップ
 
監視結果を確認するための監視パースペクティブが表示されます。
 
クラウド管理スタートアップ
 
監視[イベント]ビュー上で、PING監視の結果が出力されていることを確認します。
 
クラウド管理スタートアップ
 

クラウド課金監視

ここでは、クラウド管理オプション Standard for AWS が持つ監視機能、「クラウド課金監視」を使って、AWSの課金状況の監視を行います。

1. Cloudwatchの課金に関する情報取得を有効にします
AWSの設定で、課金に関する情報をCloudwatch経由で取得できるように、設定変更を行います。既に実施済みの場合には不要です。

2. HinemosクライアントからAWS上のHiemosマネージャにログインします

3. 「監視設定」パースペクティブを開きます

4. 監視設定を行います
定期的に課金状況を確認する監視設定を行います。以下の手順で監視設定を追加します。
 

4.1. 作成ボタンをクリックして監視種別ダイアログを表示します

4.2. クラウド課金監視(数値) を選択して「次へ」を押下します

クラウド管理スタートアップ

 

4.3. クラウド課金監視[作成・変更]ダイアログに必要な項目を入力し、「OK」を押下します

監視項目ID
BILLING-001と入力します。
 
オーナーロールID
ADMINISTRATORを選択します。
 
スコープ
「参照」ボタンを押し、「AWS1(AWS1)」を選択します。
 
間隔
1分を選択します。
 
ターゲット
Totalを選択します。
 
通知ID
「選択」ボタンを押し、「EVENT_FOR_POLLING」の左側にチェックを入れ、「OK」を押下します。
 
アプリケーション
BILLING-001と入力します。
 
その他
標準の値のままとします。
 
 

以上で監視設定[一覧]ビューに、クラウド課金監視設定が追加されます。

※ 先にオーナーロールIDを「ADMINISTRATOR」に変更してから参照ボタンを押さないと、「AWS1(AWS1)」が見えません。

5. 監視結果を確認します
クラウド課金監視の設定を追加して数分経過してから、現状の監視結果を確認します。監視パースペクティブを開き、監視[イベント]ビュー上にクラウド課金監視の結果が出力されていることを確認します。

「判定」の値を変更することで、いくら以上を警告とする、といった設定が可能です。ここでは0のままとしているため、課金状況がいくらであったとしても「危険」で出力されます。

 
 

Enterprise版による監視

本章では、以下の内容を体験します。
 
クラウド監視を設定し、クラウドインフラの状態を監視できることを体験します。
クラウドリソース監視を設定し、EC2インスタンスのリソース状態を監視できることを体験します。
 

事前準備

本章では、Hinemos クラウド管理オプション Enterprise for AWS を使用します。Hinemos クラウド管理オプション Enterprise for AWS v2.0.1 を入手し、Hinemos本体とクラウド管理オプションをセットアップした環境を用意し、その上でクラウド管理スタートアップ for AWS(環境構築編)に記載された、
AWS側の準備
Hinemosのセットアップ(「Hinemosマネージャインスタンスの作成」を除く)
 
に従って、AWS上にVPCのセットアップが完了・AWSのアカウント情報をHinemosに登録済みであることを前提としています。
 

クラウド監視

ここでは、クラウド管理オプション Enterprise版の独自機能の1つ、クラウド監視を使って、AWSのサービス状態が正常かどうかを監視してみます。
 
1. HinemosクライアントからAWS上のHiemosマネージャにログインします

2. 「監視設定」パースペクティブを開きます

3. 監視設定を行います
定期的にクラウドサービスの状態を確認する監視設定を行います。以下の手順で監視設定を追加します。
 

3.1. 作成ボタンをクリックして監視種別ダイアログを表示します

3.2. クラウド監視(真偽値) を選択して「次へ」を押下します

クラウド管理スタートアップ

 

3.3. クラウド課金監視[作成・変更]ダイアログに必要な項目を入力し、「OK」を押下します

監視項目ID
CLOUD-001と入力します。
 
オーナーロールID
ADMINISTRATORを選択します。
 
スコープ
「参照」ボタンを押し※1、AWS1(AWS1)」を選択します。
 
間隔
1分を選択します。
 
ターゲット
「追加」ボタンを押し※2、「Amazon Elastic Compute Cloud (Tokyo)」を選択します。
 
通知ID
「選択」ボタンを押し、「EVENT_FOR_POLLING」の左側にチェックを入れ、「OK」を押下します。
 
アプリケーション
CLOUD-001と入力します。
 
その他
標準の値のままとします。
 
 
ターゲットで複数のターゲットを選ぶことも可能です。ここでは東京リージョンのEC2サービスについて選択しています。以上で監視設定[一覧]ビューに、クラウド課金監視設定が追加されます。
 
※1 先にオーナーロールIDを「ADMINISTRATOR」に変更してから参照ボタンを押さないと、「AWS1(AWS1)」が見えません。
※2 追加ボタンを初めて押した際には、ターゲット情報取得に時間がかかります。
 
4. 監視結果を確認します
クラウド課金監視の設定を追加して数分経過してから、現状の監視結果を確認します。監視パースペクティブを開き、監視[イベント]ビュー上にクラウド課金監視の結果が出力されていることを確認します。
クラウド管理スタートアップ
 
 

クラウドリソース監視

ここでは、クラウド管理オプション Enterprise版の独自機能の1つ、クラウド監視を使って、AWSのサービス状態が正常かどうかを監視してみます。Hinemosの標準機能の場合、リソース値取得のためには、OS上でSNMPサービスを動作させる必要がありますが、本機能では、CloudWatchから直接値を取得するため、SNMPサービスを用意する必要がありません。
 
1. HinemosクライアントからAWS上のHiemosマネージャにログインします

2. 「監視設定」パースペクティブを開きます

3. 監視設定を行います
定期的にリソース値を監視する設定を行います。以下の手順で監視設定を追加します。
 

3.1. 作成ボタンをクリックして監視種別ダイアログを表示します

3.2. リソース監視(数値) を選択して「次へ」を押下します

クラウド管理スタートアップ

 

3.3. リソース[作成・変更]ダイアログに必要な項目を入力し、「OK」を押下します

監視項目ID
CLOUD-CPU001と入力します。
 
オーナーロールID
ADMINISTRATORを選択します。
 
スコープ
「参照」ボタンを押し、「登録ノード全て」配下にある、登録済みのEC2インスタンスを1つ選択します。
 
間隔
1分を選択します。
 
監視項目
「(クラウド)CPU使用率」を選択します。
 
通知ID
「選択」ボタンを押し、「EVENT_FOR_POLLING」の左側にチェックを入れ、「OK」を押下します。
 
アプリケーション
CLOUD-CPU001と入力します。
 
その他
標準の値のままとします。
 
 
以上で監視設定[一覧]ビューに、クラウド課金監視設定が追加されます。監視項目の一覧で「(クラウド)XXXXXXX」と表記されているものは、CloudWatch経由でリソース情報を取得する項目です。その他の項目を選択する場合はSNMPプロトコルを使用するため、監視対象側でSNMPサービスを起動する必要があります。
 
※ 「スコープ」で選択しているノードが、EC2インスタンスに該当するノードでない場合には、「(クラウド)CPU使用率」の監視項目は選択できません。
 
4. 監視結果を確認します
クラウド課金監視の設定を追加して数分経過してから、現状の監視結果を確認します。監視パースペクティブを開き、監視[イベント]ビュー上にクラウド課金監視の結果が出力されていることを確認します。
 
クラウド管理スタートアップ
 
ここでは0以上の値を全て危険として出力されるように設定しているため、危険としてアラートが上がっています。
 

関連情報

注意・免責事項

注意事項

本ドキュメントの内容を実施すると、AWSにおいて料金が発生する場合があります。AWSの料金体系等を理解した上で操作を実施してください。

本ドキュメントにおいて、2014年4月現在の AWS Management Console の操作方法を記載していますが、 AWSのサービス変更に伴い、これらの操作が変更となる可能性があります。 また、アカウントによって、AWS Management Console の画面上に表示される内容や、操作方法が異なる場合があります。

本ドキュメントで使用するHinemos公式のAMIは、 本ドキュメントに記載されていない内容を実施する場合、 そのままでは動作しない可能性があります。

AMI名などは変更される場合がございます。 また、本ドキュメント内に記載されたAMI名

AMI_HinemosManager41*_CloudV20*
AMI_HinemosAgent41*

 

については、利用するHinemos本体のバージョン番号(4.1.*)、 Hinemosクラウド管理オプションのバージョン番号(2.0.*)で適宜読み替えてください。

※(2019/07/24 追記)AMI_HinemosManager41*_CloudV20*、 AMI_HinemosAgent41*については、現在公開停止となっています。

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