ネットワーク管理とは?5つのモデルや課題、ツール選びのポイントを解説

ネットワーク管理は、企業や組織の情報システムを円滑に運用するために欠かせない管理手法です。

ネットワークを介したデータのやり取りが増加している現代のビジネスにおいては、ネットワークの安定性とセキュリティが企業の競争力に直結します。

本記事では、ネットワーク管理の概要や5つのモデル、課題、ツール選びのポイントについて詳しく解説します。

ネットワーク管理とは

ネットワーク管理とは、企業や組織が所有するネットワークインフラを適切に運用・監視・保守するための活動です。

ネットワークは企業の情報通信の基盤なので、管理が不十分であれば、業務の効率が低下し、セキュリティリスクが高まる可能性があります。

企業活動における重要性

現代のビジネスでは、ほぼすべての業務がネットワークに依存しており、ネットワークの安定性とセキュリティが企業の競争力に直結するようになりました。

ネットワークがダウンすると、メールやチャット、クラウドサービス、オンライン会議などのコミュニケーション手段が使えなくなり、ビジネスの停滞を招きます。

また、企業の情報資産を守るためにも、ネットワーク管理は欠かせません。不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、セキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。さらに、ネットワークのパフォーマンスを最適化することで、システムの応答速度が向上し、社員の生産性を高めることができるでしょう。

システム管理との違い

ネットワーク管理とシステム管理は、それぞれ異なる役割を持っています。

ネットワーク管理の目的は、企業内外の通信ネットワークの運用・監視を担当し、データの流れを最適化することです。一方、システム管理は、システムのパフォーマンス管理やバックアップの実施、ソフトウェアの更新などにより、サーバーやデータベース、アプリケーションなどを安定して稼働させることを目的としています。

つまり、ネットワーク管理は通信経路の最適化に焦点を当て、システム管理はシステム全体の安定運用に焦点を当てているわけです。

ネットワーク管理の5つのモデル「FCAPS」

「FCAPS」とは、国際標準化機構(ISO)が定義した、ネットワークの安定性と効率性を確保するための基本的なフレームワークです。以下のネットワーク管理の5つの主要な機能領域の頭文字を取って、FCAPSと呼ばれています。

  •  ・障害管理(Fault Management)
  •  ・構成管理(Configuration Management)
  •  ・課金管理(Accounting Management)
  •  ・性能管理(Performance Management)
  •  ・セキュリティ管理(Security Management)

FCAPSは障害管理、構成管理、課金管理、性能管理、セキュリティ管理の5つの要素で構成されており、それぞれが異なる役割を持ちながらも相互に連携し、ネットワーク全体の管理を支えています。

たとえば、障害管理はネットワークの問題を迅速に特定し解決することを目的とし、構成管理はネットワーク機器の設定や変更を適切に行うことを支援します。課金管理はリソースの利用状況を把握し、性能管理はネットワークのパフォーマンスを最適化します。セキュリティ管理は、ネットワークを外部からの脅威から守る役割を担っています。

それぞれのモデルについて詳しく解説します。

障害管理(Fault Management)

障害管理(Fault Management)とは、ネットワーク上で発生した問題の原因を究明し、再度発生しないように再発防止策を講じることで、ネットワーク機器やシステムの安定化を図るプロセスです。

ネットワーク機器やシステムの障害を監視し、異常を検知した際にはアラートを発信して対応を促します。

企業のネットワークは多くのデバイスと接続されており、どこかひとつでも問題が発生すると影響が広がる可能性があるため、問題を早期に発見し、迅速に対応する仕組みが求められているわけです。

構成管理(Configuration Management)

構成管理(Configuration Management)とは、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、ドキュメントなど、システムを構成する要素を把握し、適切に管理するプロセスです。

ルーターやスイッチ、ファイアウォールなどの設定を管理し、変更履歴を追跡したり設定のバックアップを定期的に行ったりすることで、システムの安定性と効率性を確保します。

課金管理(Accounting Management)

課金管理(Accounting Management)とは、ユーザーやデバイスごとのネットワークリソースの利用状況を記録・集計し、課金やコスト管理に活用するプロセスです。

ネットワークの利用状況をモニタリングし、どのユーザーやデバイスがどれだけのリソースを消費しているかを分析します。課金管理により、効率的にリソースを配分することができ、無駄なコストを削減することが可能です。

性能管理(Performance Management)

性能管理(Performance Management)とは、ネットワークのパフォーマンスを監視し、ボトルネックを特定して改善するプロセスです。

性能管理によって、ネットワークの効率的な運用を維持することができ、ユーザーに快適な利用環境を提供します。また、ネットワークの利用状況をリアルタイムで把握することで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことが可能です。

セキュリティ管理(Security Management)

セキュリティ管理(Security Management)とは、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、アクセス制御の設定、暗号化技術の活用などの対策により、外部からの攻撃や内部の不正行為から企業が保有する情報やIT資産を保護するプロセスです。

ネットワーク管理で使われる主要なプロトコル

SNMP

SNMP(Simple Network Management Protocol)は、ネットワーク機器の情報を収集し、監視および管理を行うためのプロトコルです。ルーターやスイッチ、サーバーなどのネットワーク機器の状態を監視し、異常が発生した際にはアラートを発信します。

SNMPは、主に3つの要素から成り立っています。初めに、管理情報ベース(MIB)によって、ネットワーク機器から取得する情報の構造や識別子が定義されます。次に、各デバイスのSNMPエージェントが、その定義に基づいて機器の情報を取得し、ネットワーク管理システム(NMS)に提供します。そして、ネットワーク管理システム(NMS)がエージェントからの情報を収集し、解析を行います。

ICMP

ICMP(Internet Control Message Protocol)は、ネットワークの状態を確認するためのプロトコルです。「ping」コマンドにより、特定のデバイスがネットワーク上で正常に動作しているかを確認できます。

Syslog

Syslogは、システムログを収集・管理するための標準プロトコルです。ネットワークデバイスやサーバーのログ情報を、一元的に管理できます。異常が発生した際に迅速に原因を特定し、適切な対策を講じることが可能です。

ネットワーク管理が抱える課題

ネットワーク管理が抱える課題は以下の3つです。

  •  ・運用工数の増加
  •  ・複雑化するネットワーク環境への対応
  •  ・クラウド時代に求められる管理の変化

それぞれの課題について詳しく解説します。

運用工数の増加

ネットワーク管理が抱える1つ目の課題は、運用工数の増加です。

ネットワークが拡大し、デバイスや接続が増えることで、管理者が行うべき作業量が増加します。多くの機器やサービスを管理しなければならない企業では、手動での作業が増えるとミスが発生しやすくなり、結果的にネットワークの信頼性が低下することもあるでしょう。

この問題を解決するためには、自動化の導入を検討することが重要です。自動化ツールを使用することで、日常的な監視やレポート作成、トラブルシューティングなどの作業を効率化できます。また、運用管理のプロセスを見直し、標準化することも効果的です。誰が作業しても同じ結果が得られるようになり、作業の効率化が図れます。

さらに、定期的なトレーニングやスキルアップを通じて、管理者の知識を最新のものに保つことも大切です。技術の進化に合わせて、新しいツールや方法を取り入れることで、運用工数を抑えることができます。

複雑化するネットワーク環境への対応

ネットワーク管理が抱える2つ目の課題は、複雑化するネットワーク環境への対応です。

近年、企業のネットワークはクラウドサービスの普及やモバイルデバイスの増加により、以前よりも複雑になっています。また、IoTデバイスの増加も複雑化の一因です。これらのデバイスはネットワークに新たな脅威をもたらす可能性があるため、セキュリティ対策が欠かせません。

これらの新しい技術やデバイスに対応するためには、最新の知識とスキルを常にアップデートする必要があります。

クラウド時代に求められる管理の変化

ネットワーク管理が抱える3つ目の課題は、クラウド時代に求められる管理の変化です。

従来のネットワーク管理は、主にオンプレミス環境、つまり自社内のサーバーや機器を中心に行われていました。しかし、クラウドサービスの利用が一般化した現在では、ネットワーク管理者はクラウド上のリソースも含めて管理する必要があります。

これらの変化に対応するためには、クラウド特有の管理ツールやサービスを活用し、効率的な運用を実現することが重要です。たとえば、クラウドサービスの提供者が提供する管理ツールを活用することで、リソースの利用状況をリアルタイムで把握し、適切に対応することが可能です。

ネットワーク管理ツール選びのポイント

ネットワーク管理ツール選びのポイントは以下の4つです。

  •  ・自社の規模と目的を明確にする
  •  ・対応プロトコルを確認する
  •  ・操作性・サポート体制をチェックする
  •  ・無料ツールと有料ツールの使い分け

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

自社の規模と目的を明確にする

ネットワーク管理ツール選びの1つ目のポイントは、自社の規模と目的を明確にすることです。

企業の規模によって、ネットワーク管理ツールに求める機能が異なる場合があります。小規模な企業であれば、基本的な監視機能やトラブルシューティング機能があれば十分かもしれません。しかし、大規模な企業では、より高度なセキュリティ機能や自動化機能が求められることが多いでしょう。また、セキュリティの強化を重視する場合は、セキュリティ機能が充実したツールが適しています。

上記のように、自社の規模と目的に合ったツールを選ぶことで、効率的なネットワーク管理を実現することができるでしょう。

対応プロトコルを確認する

ネットワーク管理ツール選びの2つ目のポイントは、対応プロトコルを確認することです。

プロトコルとは、ネットワーク上でデータをやり取りする際のルールや手順を指します。ネットワーク管理ツールがどのプロトコルに対応しているかによって、どの程度の情報を収集できるか、どのように管理できるかが左右されるわけです。そのため、導入前に自社のネットワーク環境で使用しているプロトコルをリストアップし、それに対応するツールを選ぶことが重要です。

操作性・サポート体制をチェックする

ネットワーク管理ツール選びの3つ目のポイントは、操作性・サポート体制をチェックすることです。

操作性が優れたツールは、直感的に使いやすく、管理作業を効率的に進めることができます。たとえば、初心者でも簡単に操作できるインターフェースや、カスタマイズ可能なダッシュボードがあると、日常の運用がスムーズに行えるでしょう。

また、サポート体制も見逃せないポイントです。トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえるサポートがあると、安心してツールを利用できます。

無料ツールと有料ツールの使い分け

ネットワーク管理ツール選びの4つ目のポイントは、無料ツールと有料ツールの使い分けです。

無料ツールは初期コストがかからないため、小規模なネットワークや予算が限られている企業に適しています。しかし、無料ツールは機能が限定されていることが多く、大規模なネットワークや高度な機能が必要な場合には不向きかもしれません。

一方、有料ツールは豊富な機能とサポート体制が整っていることが多く、大規模なネットワークを管理する場合や専門的なサポートが必要な場合には、初期投資を考慮しても有料ツールの方が適しています。トラブル発生時の対応や新機能の追加が頻繁に行われる環境では、有料ツールのメリットを最大限に活用できるでしょう。

まとめ

今回は、ネットワーク管理の概要や5つのモデル、課題、ツール選びのポイントについて解説しました。

適切なネットワーク管理を行うことで、通信障害を未然に防ぐことができ、システムの安定性が向上します。
本記事で解説したネットワーク管理ツール選びのポイントを参考に、より効率的で安定したネットワーク環境を構築しましょう。

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