MTBF(平均故障間隔)とは?計算式や故障率との関係、改善方法を解説

MTBF(平均故障間隔)は、システムの信頼性や可用性を評価する指標です。
予防保全の徹底や原因の特定・再発防止、運用環境の見直しなどにより、MTBFを改善することができます。

本記事では、MTBF(平均故障間隔)の概要や計算式、故障率との関係、改善方法について詳しく解説します。

MTBF(平均故障間隔)とは

MTBF(平均故障間隔)とは、機械やシステムがどのくらいの期間故障せずに稼働するかを示す指標です。

製品や設備の信頼性を測るために広く使用されており。MTBFが長いほど故障しにくいとされ、企業の保守計画やコスト管理に大きな影響を与えます。

製造業やサービス業では設備のダウンタイムを最小限に抑えることが競争力の維持に直結するため、MTBFを正確に把握し、予期せぬ故障による生産停止を減少させることが重要です。

MTBFが活用できる設備とできない設備

MTBF(平均故障間隔)は、電力プラントや製造ラインの機械設備など、稼働時間が長く、故障が発生した際の影響が大きい設備で活用されています。
これらの設備では故障によるシステムダウンが生産性や安全性に直結するため、MTBFを用いて予防保全やメンテナンス計画を立てることが重要です。

一方、頻繁に稼働しない設備や故障してもすぐに交換可能な設備は、故障してもすぐに新しいものと交換できるため、MTBFを重視する必要はありません。

MTBFの計算式

MTBF(平均故障間隔)は、特定の期間における設備の総稼働時間を、その期間中に発生した故障の回数で割ることで求められます。

MTBFの計算式は以下の通りです。

 MTBF = 総稼働時間 ÷ 総故障回数

たとえば、ある設備が1,000時間稼働し、その間に5回の故障が発生した場合、

 MTBFは1000時間÷5回=200で200時間

これは、平均して200時間ごとに1回の故障が発生することを意味します。

ただし、MTBFが高いからといって、必ずしも実際の運用でトラブルが少ないとは限りません。現場での運用条件やメンテナンスの質もMTBFに影響を与えるため、MTBFの計算結果を鵜呑みにせず、現場の状況と合わせて判断することが重要です。

稼働時間の範囲をどう判断するか

稼働時間とは、設備やシステムが実際に稼働している時間を指し、故障が発生していない期間を意味します。

稼働時間の判断基準としては、設備が電源オンの状態である時間を稼働時間とするのが一般的です。ただし、単に電源が入っているだけではなく、実際に使用されているかも考慮する必要があります。また、計画的な停止時間やメンテナンス時間は故障による停止ではないため、稼働時間から除外することが一般的です。

MTBF(平均故障間隔)と関連する指標

MTTR(平均復旧時間)とは

MTTR(平均復旧時間)とは、故障が発生してからその故障を修理して正常な状態に戻るまでにかかる平均的な時間を指します。設備やシステムがどれだけ迅速に復旧できるかを評価するための指標であり、MTTRが短ければ短いほど障害発生時のダウンタイムが少なく、業務の中断を最小限に抑えることができます。

MTTRの計算式は以下の通りです。

 MTTR = 総復旧時間 ÷ 故障の発生回数

たとえば、ある機器が年間に5回故障し、総復旧時間が10時間だった場合、MTTRは2時間となります。

適切な保守計画や技術者のスキル向上、修理体制の整備といった取り組みにより、MTTRを短縮し、システムの稼働率を高めることが可能です。

MTTF(平均故障時間)とは

MTTF(平均故障時間)とは、製品やシステムが故障するまでの平均的な時間を示す指標です。

MTBFと同様に設備の信頼性を評価するために利用されますが、MTTFは主に修理ができない製品、たとえば電球やヒューズのような消耗品に対して用いられます。

MTTFを計算する際には、同じ条件下で使用された複数の製品の寿命を測定し、それらの平均を求めます。たとえば、3個の電球がそれぞれ500時間、600時間、550時間で切れた場合、(500+600+550)÷3で550時間となるわけです。

一般的にMTTFが長いほど耐久性が高いと考えられますが、実際の使用環境や条件に大きく影響される点に注意する必要があります。

MTTA(平均確認時間)とは

MTTA(平均確認時間)とは、システムや設備の故障を知らせるアラートが発生してから、担当者がそれを確認するまでの時間を平均したものです。

アラートの発生後、どれだけ迅速に検知・対応の初動に移れるかを示す指標であり、ITシステムや製造業の現場で活用されています。MTTAが短いほど迅速に対応を開始できるため、システム全体のダウンタイムを減少させることが可能です。逆に、MTTAが長くなると、故障対応が遅れ、結果として業務効率が低下する恐れがあります。

MTTAを改善するためには、リアルタイム監視システムの導入やスタッフの教育・訓練が効果的です。

MTTD(平均検知時間)とは

MTTD(平均検知時間)とは、システムや設備が故障した際に、その故障を認識するまでにかかる平均的な時間です。MTTDを短縮することで、復旧作業を早く開始することができ、ダウンタイムを短縮することができます。

MTTDを短縮するためには、センサーやモニタリングシステムを導入し、リアルタイムで状態を監視することが効果的です。また、アラートシステムを整備し、異常を即座に通知する体制を作ることで、迅速に対応することができます。

MTBFとMTTRから稼働率を計算する方法

稼働率とは、システムや機器が正常に稼働している時間の割合を示す指標です。

稼働率を算出することで、システムや機器がどの程度の時間、正常に動作しているかを把握することができます。

一般的な稼働率の計算式

一般的な稼働率の計算式は以下の通りです。

 稼働率(%) = 実稼働時間 ÷ ( 実稼働時間 + 停止時間 ) × 100

たとえば、ある機器が20時間稼働し、4時間停止していた場合、「20 ÷ 24 ×100= 83.33」で約83.33%の稼働率となります。

MTBFとMTTRを用いた計算例

稼働率は、MTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均復旧時間)を組み合わせることで算出することも可能です。

MTBFとMTTRを用いた稼働率の計算式は以下の通りです。

 稼働率(%) = MTBF ÷ ( MTBF + MTTR ) × 100

たとえば、ある機械のMTBFが200時間、MTTRが5時間の場合、200 ÷ (200 + 5) ×100= 97.5なので、稼働率は97.5%となります。

上記の計算式からもわかるように、MTBFが長く、MTTRが短いほど、稼働率は高くなります。つまり、設備の稼働率を高めるためには、故障する間隔を長くし、復旧にかかる時間を短くする必要があるわけです。

MTBFと故障率の関係

MTBF(平均故障間隔)と故障率は、どちらも機器やシステムの信頼性を評価するために用いられる重要な指標です。

MTBFは機器が故障せずに稼働する平均時間を指し、長いほど信頼性が高いとされます。一方、故障率は一定時間に発生した故障の割合を指し、数値が低いほど信頼性が高いとされます。

故障率は、時間の経過に伴って、初期故障期、偶発故障期、摩耗故障期の3つの期間に分けられます。それぞれの期間ごとに故障率が異なるため、MTBFや故障率を評価する際には、どの期間に該当するかを考慮することが重要です。

たとえば、初期故障期では故障率が高く、MTBFは短くなる傾向がありますが、偶発故障期では故障率が安定し、MTBFも長くなります。

故障率の基本的な考え方

故障率とは、特定の時間内にどれだけの頻度で故障が発生するかを示す指標です。システムがどれだけ安定しているか、またはどれだけ頻繁にメンテナンスが必要かを判断するための基準となります。

故障率の計算式は以下の通りです。

 故障率 = 総故障回数 ÷ 総稼働時間

たとえば、1,000時間の運用で10回の故障が発生した場合、故障率は10÷1,000で、1時間当たり0.01回となります。

また、故障率とMTBFは逆数にあるため、MTBFを算出する際に故障率が使用されることもあります。
故障率を使用したMTBFの計算式は以下の通りです。

 MTBF = 1 ÷ 故障率

つまり、MTBFが長いほど故障率は低く、MTBFが短いほど故障率は高くなるわけです。

MTBFを改善する方法

MTBFを改善する方法は以下の4つです。

  •  ・故障モードごとに改善策を切り分ける
  •  ・予防保全と事後保全を組み合わせる
  •  ・部品交換・冗長化による信頼性向上
  •  ・運用環境の見直しと使用条件の確認

それぞれの方法について詳しく解説します。

故障モードごとに改善策を切り分ける

MTBFを改善する1つ目の方法は、故障モードごとに改善策を切り分けることです。

故障モードとは、製品や設備がどのように故障するかのパターンを指します。それぞれの故障モードに応じた対策を講じることで、MTBFの向上が期待できます。たとえば、機械的な摩耗が原因であれば、定期的な潤滑や部品交換が効果的です。
一方、電気的な故障が多い場合は、配線の見直しや絶縁の強化が必要となります。

故障モードを分析する際には、過去の故障データを集め、頻度や傾向を把握することが重要です。故障モードごとに優先順位をつけて改善策を実施することで、効率的にMTBFを向上させ、無駄なコストを削減しながら製品や設備の信頼性を高めることができます。

予防保全と事後保全を組み合わせる

MTBFを改善する2つ目の方法は、予防保全と事後保全を組み合わせることです。

予防保全とは、故障が発生する前に定期的に点検やメンテナンスを行い、設備の状態を良好に保つ方法を指します。予防保全により、故障の発生を未然に防ぎ、MTBFを向上させることが可能です。

一方、事後保全は、故障が発生した後に修理や交換を行う方法を指します。事後保全により、故障発生時に迅速に対応することができ、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。

予防保全と事後保全を組み合わせることで、より柔軟な保全戦略を構築することができます。たとえば、定期的な点検を行いつつ、万が一の故障に備えて事後保全の体制を整えておくことで、設備の信頼性を高めることができるわけです。

予防保全と事後保全を効果的に組み合わせるためには、設備の特性や使用状況をよく理解することが欠かせません。

たとえば、稼働頻度が高く、故障が直接生産に影響を与える設備には、予防保全を重視することが望ましいでしょう。一方で、故障が生産に大きな影響を与えない設備には、コスト効率を考慮して事後保全を選択することも考えられます。

部品交換・冗長化による信頼性向上

MTBFを改善する3つ目の方法は、部品交換・冗長化による信頼性向上です。

使用頻度の高い部品や劣化が進んでいる部品を計画的に交換することで、故障のリスクを低減することができます。部品を交換する際は、過去の故障履歴やメーカーの推奨交換周期を参考にすることが効果的です。

また、同じ機能を持つ複数の部品やシステムを設置する冗長化により、どれか1つが故障しても他が機能を補完することができます。サーバーや通信機器など、重要度の高い設備を冗長化することにより、システム全体の可用性を大幅に向上させることが可能です。

運用環境の見直しと使用条件の確認

MTBFを改善する4つ目の方法は、運用環境の見直しと使用条件の確認です。

運用環境が適切でない場合、設備の故障が増え、MTBFが低下する可能性があります。設備が設置されている場所の温度、湿度、振動、塵埃の程度などを確認し、必要に応じて改善策を講じることで、MTBFを改善することが可能です。
具体的には、エアコンや除湿機を設置して温湿度を管理したり、防振装置を導入して振動を抑えたりすることが考えられます。

また、使用条件についても確認が必要です。設備が設計された用途や負荷条件を超えて使用されている場合、故障が発生する可能性が高くなります。

まとめ

今回は、MTBF(平均故障間隔)の概要や計算式、故障率との関係、改善方法について解説しました。

MTBFを把握することで、より効率的なメンテナンス計画を立てることができ、結果としてコスト削減や製品の品質向上につながります。
本記事で解説したMTBFの計算式や改善方法を参考に、より効率的で信頼性の高いシステムを構築しましょう。

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