IT資産管理とは?注目される理由やポイント、ツール導入のメリットを解説

近年では、テレワークの普及やクラウドサービスの拡大により、IT資産の分散化が進んでいます。
どの資産がどこにあり、どのように使用されているかを把握するためには、IT資産管理が欠かせません。

本記事では、IT資産管理が注目される理由やポイント、IT資産管理ツール導入のメリットについて詳しく解説します。

IT資産管理とは

IT資産管理とは、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク機器、クラウドサービスといった、企業や組織が所有するIT関連の資産を効率的に管理し、最適化するためのプロセスを指します。

企業が所有するPCやサーバーの台数やインストールされているソフトウェアのライセンス状況、使用しているクラウドサービスの契約内容などを把握することで、セキュリティリスクの低減やコンプライアンス遵守といったさまざまメリットを享受することが可能です。

IT資産管理が注目される理由

IT資産管理が注目される理由は以下の4つです。

  •  ・テレワーク普及によるIT資産の分散化
  •  ・サイバー攻撃の高度化によるセキュリティリスクの増加
  •  ・ライセンス違反などコンプライアンス遵守の重要性
  •  ・SaaS普及拡大に伴うシャドーITの発生

それぞれの理由について詳しく解説します。

テレワーク普及によるIT資産の分散化

IT資産管理が注目される1つ目の理由は、テレワーク普及によるIT資産の分散化です。

テレワークの普及により、これまでオフィスに集中していたPCや周辺機器、ソフトウェアなどのIT資産が社員の自宅や外部の拠点に分散されるようになりました。

IT資産の分散によって、各社員が使用するIT資産の状況を把握することが難しくなっています。また、社員が自宅のネットワークを使用することで、外部からの攻撃や情報漏えいのリスクが高まることも、IT資産の分散化の課題です。

業務効率を維持しつつ、セキュリティリスクを最小限に抑えるためには、分散したIT資産を正確に把握し、適切に管理する必要があります。

サイバー攻撃の高度化によるセキュリティリスクの増加

IT資産管理が注目される2つ目の理由は、サイバー攻撃の高度化によるセキュリティリスクの増加です。

近年、サイバー攻撃はより洗練され、標的型攻撃やランサムウェアなど、多様な手法が登場しており、企業のIT資産が狙われるリスクが高くなっています。

セキュリティリスクを軽減するためには、自社のIT資産を正確に把握し、どの資産がどのような脅威にさらされているのかを知ることが重要です。そして、脆弱性のある資産には、定期的なセキュリティパッチの適用や、アクセス権限の見直しなど、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

ライセンス違反などコンプライアンス遵守の重要性

IT資産管理が注目される3つ目の理由は、ライセンス違反などコンプライアンス遵守の重要性です。

企業がソフトウェアやアプリケーションを使用する際には、ライセンス契約を守ることが求められます。ライセンスの数を超えてソフトウェアを使用したり、契約期間を過ぎて使用を続けたりすると、法的なトラブルに巻き込まれるかもしれません。

このような問題を防ぐためには、ライセンスの数や使用期限を正確に記録し、契約内容を常に把握することが重要です。

SaaS普及拡大に伴うシャドーITの発生

IT資産管理が注目される4つ目の理由は、SaaS普及拡大に伴うシャドーITの発生です。

シャドーITとは、企業の正式な承認を得ずに、従業員が個人的にITツールやサービスを利用することを指します。SaaS(Software as a Service)はインターネットを通じて簡単に利用できるため、個々の従業員が独自に導入する状況を生み出しているわけです。

シャドーITの問題点は、企業のセキュリティポリシーに反するツールが使用される可能性があり、情報漏えいやデータの不正利用のリスクが増加することです。また、ライセンス管理が行き届かず、ライセンス違反のリスクも生じます。

IT資産管理のポイント

IT資産管理のポイントは以下の4つです。

  •  ・管理目的と対象範囲を明確にする
  •  ・IT資産台帳を作成・整備する
  •  ・運用ルールを策定する
  •  ・IT資産管理ツールを導入する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

管理目的と対象範囲を明確にする

IT資産管理の1つ目のポイントは、管理目的と対象範囲を明確にすることです。

IT資産を管理する目的を明確にすることで、管理活動における優先順位を決めやすくなります。たとえば、情報セキュリティの強化を目的とする場合、ネットワーク機器やセキュリティソフトウェアの管理が重点となるわけです。

また、管理対象範囲を明確にすることも欠かせません。ハードウェアやソフトウェア、ライセンス、ネットワーク機器、クラウドサービス、データなど、IT資産をリストアップし、どこまでを管理対象に含めるかを決めることで、管理の抜け漏れを防ぐことができます。

IT資産台帳を作成・整備する

IT資産管理の2つ目のポイントは、IT資産台帳を作成・整備することです。

IT資産台帳とは、企業が保有するすべてのIT資産の情報を一元的に管理する台帳を指します。IT資産台帳を作成・整備することで、自社のIT資産の現状を正確に把握でき、効率的に管理することが可能です。

IT資産台帳には、資産の名称や購入日、購入価格、設置場所、使用者、ライセンスの有効期限など、各資産の詳細な情報を記載します。IT資産のライフサイクルを管理しやすくなり、無駄なコストの削減にもつながるでしょう。

運用ルールを策定する

IT資産管理の3つ目のポイントは、運用ルールを策定することです。

IT資産の使用や管理の一貫性を保ち、組織全体で統一的に運用するためには、運用ルールを策定する必要があります。運用ルールを策定する際には、ソフトウェアのアップデートの手順やハードウェアの購入・廃棄の基準などを具体的に定めることが重要です。

IT資産管理ツールを導入する

IT資産管理の4つ目のポイントは、IT資産管理ツールを導入することです。

IT資産管理ツールを導入することで、IT資産の情報を一元的に把握できるようになり、適切なライセンス管理やセキュリティ対策を行うことができます。

IT資産管理ツールを選定する際には、自社のニーズを明確にし、それに合った機能を持つツールを選ぶことが重要です。また、導入コストや運用コストも考慮し、予算に見合ったツールを選ぶことで、費用対効果を高めることができます。

IT資産管理ツールとは

IT資産管理ツールとは、企業が保有するIT資産を効率的に管理・運用するためのソフトウェアやシステムです。

クラウドサービスやSaaSの普及により企業が管理すべき資産が増加しているため、従来の手法ではIT資産の管理が難しくなっています。IT資産管理ツールを活用することで、資産の可視化や管理プロセスの自動化を実現し、運用コストの削減やコンプライアンスの強化を図ることが可能です。

IT資産管理ツールを導入するメリット

IT資産管理ツールを導入するメリットは以下の2つです。

  •  ・ライフサイクル全体を通じた一元管理が可能
  •  ・情報漏えい・不正利用の防止につながる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

ライフサイクル全体を通じた一元管理が可能

IT資産管理ツールを導入する1つ目のメリットは、ライフサイクル全体を通じた一元管理が可能なことです。

IT資産管理ツールを導入することで、購入時期や使用状況、保守契約の期限、更新履歴など、資産の取得から廃棄までの各段階をひとつのシステムで管理することができ、資産の状態をリアルタイムで把握することができます。

また、資産の重複購入を防ぐだけでなく、資産の更新や廃棄のタイミングを見極めることができ、資産を適切に配置することが可能です。

情報漏えい・不正利用の防止につながる

IT資産管理ツールを導入する2つ目のメリットは、情報漏えい・不正利用の防止につながることです。

IT資産管理ツールを導入することで資産の利用状況をリアルタイムで監視できるため、情報漏えいや不正利用の兆候を早期に発見することができます。また、セキュリティパッチやアップデートの配信機能を活用することで、最新のセキュリティ対策を講じることが可能です。

さらに、外部デバイスの接続制限や禁止ソフトウェアの利用制限機能により、意図しない不正ソフトのインストールを防ぐことができます。

IT資産管理ツールの種類

オンプレミス型の特徴

オンプレミス型のIT資産管理ツールは、自社内にサーバーを設置して運用するため、データの管理やセキュリティを自社でコントロールできる点が最大の特徴です。

製品や構成によっては、インターネット接続ができない環境でも運用でき、セキュリティが厳重な業界や企業に適しています。また、カスタマイズ性が高く、自社のニーズに合わせたシステム構築が可能です。

一方、オンプレミス型はサーバーの購入や設置、運用に必要な人材の確保などが必要なため、初期導入コストが高くなる傾向にあります。メンテナンスやアップデートも自社で行う必要があるため、技術的な知識やリソースが求められます。

さらに、災害時のデータ保護やバックアップについても、自社での対策が必要です。クラウド型と比べてデータの物理的な安全性を自社で確保する必要があるため、バックアップシステムの導入が推奨されます。

クラウド型(SaaS型)の特徴

クラウド型(SaaS型)の特徴は、インターネットを通じてサービスを利用し、初期費用が抑えられる点です。

また、クラウド型は自動的に最新の機能やセキュリティアップデートが提供されるため、常に最新の状態を維持できます。さらに、クラウド型はスケーラビリティが高く、利用者数の増減に応じてライセンスの数を簡単に調整できるため、無駄なコストを抑えることが可能です。

一方、クラウド型はインターネット接続が必要なため、通信環境が整っていない場合には利用できない点を考慮する必要があります。

IT資産管理ツールを選ぶ際のポイント

IT資産管理ツールを選ぶ際のポイントは以下の6つです。

  •  ・導入目的に合った機能が備わっているか
  •  ・既存システムと連携できるか
  •  ・操作性・ユーザビリティに優れているか
  •  ・ベンダーのサポート体制が充実しているか
  •  ・テレワークに対応できるか
  •  ・複数拠点を一元管理できるか

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

導入目的に合った機能が備わっているか

IT資産管理ツール選びの1つ目のポイントは、導入目的に合った機能が備わっているかです。

IT資産管理ツールを導入しても、必要な機能が利用できなければ意味がありません。たとえば、IT資産管理を通じてコスト削減を目指す場合、資産の使用状況を詳細に把握できる機能が必要です。また、セキュリティ強化が目的であれば、外部デバイスの制限やセキュリティパッチの配信機能が欠かせません。

自社の課題やニーズを明確にし、それに基づいて必要な機能が利用できるIT資産管理ツールを選定することが重要です。また、ツールによっては特定の業界や業務に特化した機能があるため、自社の業種に最適なツールを選ぶことも考慮しましょう。

既存システムと連携できるか

IT資産管理ツール選びの2つ目のポイントは、既存システムと連携できるかです。

既存システムとの連携がうまくいかないと、データの一元管理が難しくなり、管理効率が低下する恐れがあります。

連携機能が充実しているツールを選ぶことで、システム間でのデータの重複や不整合を防ぎ、人的ミスを抑えることが可能です。たとえば、既存の人事システムや会計ソフトと連携できるIT資産管理ツールを選ぶことで、従業員の入退社に伴う資産の動きを自動的に追跡したり、資産のコストを正確に計上したりすることができます。

操作性・ユーザビリティに優れているか

IT資産管理ツール選びの3つ目のポイントは、操作性・ユーザビリティに優れているかです。

使い勝手の悪いツールは、日常の業務効率を低下させ、ユーザーのストレスを増大させる恐れがあります。直感的に操作できるインターフェースを備えたIT資産管理ツールであれば、必要な情報に素早くアクセスでき、IT資産の管理にかかる時間を削減することが可能です。

ベンダーのサポート体制が充実しているか

IT資産管理ツール選びの4つ目のポイントは、ベンダーのサポート体制が充実しているかです。

ツール導入後のサポートが不足していると、トラブル発生時に迅速な対応ができず、業務に支障をきたすかもしれません。初めてIT資産管理ツールを導入する企業にとっては、操作方法や設定に関する疑問が多く発生することも考えられます。

サポート体制の充実度を評価する際には、問い合わせ窓口が複数用意されているかを確認しましょう。電話やメール、チャットなど多様な手段があると、緊急時でも迅速に連絡を取ることができます。

テレワークに対応できるか

IT資産管理ツール選びの5つ目のポイントは、テレワークに対応できるかです。

テレワーク環境では、BYOD(Bring Your Own Device)といわれる個人所有のデバイスを業務で使用するケースが増えています。BYODにより企業はデバイスの購入コストを削減できますが、個人のデバイスが企業のネットワークに接続されることで、セキュリティリスクが高くなる点が課題です。

テレワークに伴うセキュリティリスクを抑えるためには、インターネット経由での資産情報の管理やリモートデバイスへのセキュリティパッチの配信、ソフトウェアのアップデートなどができるIT資産管理ツールが必要です。

複数拠点を一元管理できるか

IT資産管理ツール選びの6つ目のポイントは、複数拠点を一元管理できるかです。

全国に支店や営業所を持つ企業にとって、各拠点のIT資産を個別に管理するのは手間がかかり、情報の齟齬が生じやすくなります。各拠点のIT資産情報をリアルタイムで収集することで、どの拠点にどのような資産が存在し、どのように利用されているかを瞬時に把握することが可能です。また、資産の重複や無駄なコストの発生を防ぎ、資産利用の最適化にもつながります。

まとめ

今回は、IT資産管理が注目される理由やポイント、IT資産管理ツール導入のメリットについて解説しました。

適切なIT資産管理により、セキュリティ強化やコスト最適化、コンプライアンス遵守、業務効率化などが期待できます。IT資産管理ツールを導入することで、IT資産のライフサイクル全体を一元管理することができ、情報漏えいや不正利用を防止することが可能です。

本記事で解説したIT資産管理のポイントやIT資産管理ツール選びのポイントを参考に、IT資産管理に取り組んでみましょう。

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