情報セキュリティにおける完全性とは?重視される理由や損なわれる要因、対策を解説

情報セキュリティの3要素のひとつである完全性とは、改ざんや欠損がなく、情報が正確な状態で維持されていることを意味します。
完全性の目的は、情報の信頼性を担保することです。

本記事では、情報セキュリティにおける完全性の概要や重視される理由や損なわれる要因、対策について詳しく解説します。

情報セキュリティにおける完全性(Integrity)とは

情報セキュリティにおける完全性(Integrity)とは、情報が正確であり、改ざんされていない状態を維持することです。

完全性が損なわれると、情報の信頼性が低下し、意思決定や業務プロセスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。たとえば、製造業で生産データが改ざんされると製品の品質に問題が生じる可能性があり、金融業界で取引データが改ざんされると企業の信頼性が損なわれる恐れがあるわけです。

真正性との違い

情報セキュリティにおける「完全性」と「真正性」は混同されがちですが、異なる概念です。

完全性は、情報が正確であり、意図しない変更が行われていない状態です。一方、真正性は、情報の出所が確かであり、その情報が偽造されていないことを意味します。たとえば、メールが本当にその送信者から送られてきたものであるかを確認することが真正性の役割です。

完全性は情報の内容そのものの正確さを維持することに重点を置きますが、真正性はその情報の出所や信憑性に焦点を当てています。つまり、完全性が情報の中身の信頼性を担保するのに対し、真正性は情報の出所の信頼性を保証するわけです。

完全性が情報セキュリティで重視される理由

完全性が情報セキュリティで重視される理由は以下の2つです。

  •  ・情報の信頼性が担保される
  •  ・システムを安定して運用できる

それぞれの理由について詳しく解説します。

情報の信頼性が担保される

完全性が情報セキュリティで重視される1つ目の理由は、情報の信頼性が担保されるからです。

企業の顧客情報や財務データが不正に変更されると、業務に重大な影響を及ぼす可能性があります。完全性を維持することで、情報の信頼性を担保し、経営判断のミスや企業の社会的信用の失墜を防ぐことができます。

システムを安定して運用できる

完全性が情報セキュリティで重視される2つ目の理由は、システムを安定して運用できるからです。

システム内部のデータが書き換えられたり削除されたりすると、システムエラーや処理の矛盾が発生し、正しく動作しなくなる恐れがあります。システムを安定して運用するためには、データの正確性を守る完全性の確保が欠かせません。

完全性が損なわれる主な要因

完全性が損なわれる主な要因は以下の3つです。

  •  ・人的ミスによるデータの誤入力・削除
  •  ・設定ミスによるデータの破損
  •  ・外部からの不正アクセスによる改ざん

それぞれの要因について詳しく解説します。

人的ミスによるデータの誤入力・削除

完全性が損なわれる1つ目の要因は、人的ミスによるデータの誤入力・削除です。

入力ミスによって顧客データが誤って登録されると、その情報に基づく業務が影響を受け、信頼性が低下する可能性があります。また、誤ってデータを削除してしまうと、重要な情報が失われ、業務に支障をきたすこともあるでしょう。

入力ミスを防ぐためには、入力作業のダブルチェック体制を導入することが効果的です。入力後に別の担当者が内容を確認するプロセスを設けることで、入力ミスを未然に防ぐことができます。

また、データのバックアップを定期的に行い、万が一の際に迅速に復元できる体制を整えることで、誤削除の影響を最小限に抑えることが可能です。データの完全性を維持しつつ、業務の安定性も確保できます。

設定ミスによるデータの破損

完全性が損なわれる2つ目の要因は、設定ミスによるデータの破損です。

システムやアプリケーションの設定が誤って行われると、データが意図せず変更されたり消失したりする可能性があります。たとえば、データベースのアクセス権限を誤って設定することで、本来アクセスできないユーザーがデータベースにアクセスできてしまうわけです。

設定の際にダブルチェックを行ったり、設定変更時のログを記録・監視したりすることで、設定ミスの影響を最小限に抑えることができます。また、実際に設定を変更する前に、テスト環境で確認することも重要です。

外部からの不正アクセスによる改ざん

完全性が損なわれる3つ目の要因は、外部からの不正アクセスによる改ざんです。

悪意のある第三者がシステムに侵入し、データが改ざんされることで、完全性が損なわれます。たとえば、企業の顧客データベースが不正アクセスされ、顧客情報が改ざんされると、信用失墜や法的問題が発生するかもしれません。

このような事態を防ぐためには、ファイアウォールや侵入検知システムを活用し、外部からのアクセスを監視する必要があります。また、定期的なセキュリティパッチの適用やソフトウェアの更新も効果的です。さらに、従業員に対するセキュリティ教育を行い、フィッシング攻撃などの手口に対する意識を高めることで、不審なメールやリンクを開かないようにすることができます。

情報セキュリティの3要素「CIA」と完全性の位置づけ

情報セキュリティにおける3要素とは、機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)の3つの要素です。それぞれの頭文字を取って、「CIA」と呼ばれることもあります。

たとえば、企業がオンラインで顧客データを扱う場合、機密性を確保するために暗号化を施し、可用性を高めるためにシステムを冗長化するわけです。そして、完全性を維持するために、データの変更履歴を追跡し、不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策を講じます。

これら3つの要素は相互に関連し合うため、情報資産を守るためにバランスよく管理することが重要です。

機密性(Confidentiality)とは

機密性(Confidentiality)とは、情報が許可された者だけにアクセスされることを保証する、情報セキュリティの基本的な概念のひとつです。機密性が維持されていない場合、個人情報の漏洩や企業の機密情報の流出といった重大な問題が発生する可能性があります。

機密性を維持するためには、アクセス制限や多要素認証、暗号化技術の活用などにより、情報へのアクセス権を厳密に管理することが重要です。

可用性(Availability)とは

可用性(Availability)とは、情報セキュリティの3要素のひとつで、必要なときに情報やシステムが利用可能である状態です。可用性を確保することは、システムが常に稼働し、ユーザーが必要な情報にアクセスできることを意味します。

可用性が重視されるのは、ビジネスの継続性に直結するからです。たとえば、オンラインショッピングサイトがダウンすると、売上が減少するだけでなく、顧客満足度も低下する恐れがあります。また、医療機関では、システムの利用ができないと患者の命に関わるかもしれません。このように、可用性の確保はさまざま業界で重要な課題となっています。

完全性を維持するために企業が取り組むべき対策

完全性を維持するための対策は以下の4つです。

  •  ・アクセスログの取得
  •  ・デジタル署名の活用
  •  ・バックアップ体制の構築
  •  ・アクセス制限

それぞれの対策について詳しく解説します。

アクセスログの取得

完全性を維持するための1つ目の対策は、アクセスログの取得です。

アクセスログとは、システムやネットワークに対するアクセスの履歴を記録したものを指します。アクセスログを取得することで、誰がいつどのデータにアクセスしたかを確認することができ、不正なアクセスやデータ改ざんの発見に役立ちます。また、不正アクセスが発生した場合、アクセスログをもとに調査を進めることで、責任の所在が明確になり、適切な対処を行うことが可能です。

ただし、ログが大量に蓄積されると必要な情報を見つけ出すのが困難になるため、アクセスログの取得を目的とするのではなく、適切な管理と運用が求められます。

デジタル署名の活用

完全性を維持するための2つ目の対策は、デジタル署名の活用です。

デジタル署名とは、電子文書やデータに対して、本人が作成したものであることや内容が改ざんされていないことを保証する技術を指します。デジタル署名を用いることで、受信者はデータが送信される際に第三者に書き変えられていないことが確認できます。

デジタル署名には、公開鍵暗号方式という技術が利用されています。公開鍵暗号方式は、公開鍵と秘密鍵という2つの鍵を使用してデータを暗号化・復号化する仕組みです。送信者は秘密鍵を使ってデータに署名を施し、受信者は送信者の公開鍵を使ってその署名を確認します。

バックアップ体制の構築

完全性を維持するための3つ目の対策は、バックアップ体制の構築です。

バックアップとは、データを複製し、別の場所に保存することで、万が一のデータ損失や改ざんに備える手段を指します。定期的にバックアップすることで、データが破損したり消失したりした際に迅速に復旧することが可能です。ただし、バックアップだけではなく、実際にデータを復旧するリストア手順を整えておく必要があります。

アクセス制限

完全性を維持するための4つ目の対策は、アクセス制限です。

特定のデータやシステムにアクセスできる人を制限することで、誤った操作や不正なアクセスによるデータの改ざんを防ぐことができます。アクセス制限の主な方法は、ユーザーごとの権限設定や最小権限の適用などです。

アクセス制限を実施する際には、ユーザーの権限を明確に定義し、必要最低限の情報へのアクセスのみを許可することが重要です。また、アクセス制限の設定は定期的に見直し、状況に応じて適切に更新することが求められます。さらに、アクセスログを取得しておくことで、誰がいつどのデータにアクセスしたのかを追跡でき、問題が発生した原因を特定することが可能です。

まとめ

今回は、情報セキュリティにおける完全性の概要や重視される理由や損なわれる要因、対策について解説しました。

完全性は、情報が正確で改ざんされていないことを保証するために欠かせない要素です。アクセスログの取得やデジタル署名の活用、定期的なバックアップなどにより、完全性を維持することができます。

本記事で解説した完全性が損なわれる主な要因や完全性を維持するための対策を参考に、より安全な環境を構築しましょう。

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