アクセス管理とは?目的や実施する方法、手順、システム選びのポイントを解説

アクセス管理は、情報漏えいや内部不正、ヒューマンエラーを防止し、情報の安全性を確保するために欠かせないプロセスです。
アクセス管理システムを導入することで、担当者の負担や誤入力、更新漏れといった手動管理の課題が解消され、効率的にアクセス管理を行うことができます。

本記事では、アクセス管理の概要や目的、実施する方法、手順、システム選びのポイントについて詳しく解説します。

アクセス管理とは

アクセス管理とは、企業が保有するシステムや情報へのアクセス権を管理することで、セキュリティを確保する管理手法です。だれが、いつ、どの情報にアクセスできるのかを制御することで、情報漏えいや不正アクセスを防止します。

アクセス管理は、情報の安全性確保だけでなく、業務効率化や法令遵守の観点からも欠かせない取り組みです。適切なアクセス管理を行うことで、必要な情報が必要な時に必要な人に届くようになり、無駄な時間やリスクを減らすことができます。

また、アクセス管理の一環として多要素認証やシングルサインオンを導入することで、ユーザーの認証プロセスをより安全かつ効率的にすることが可能です。

アイデンティティ管理(IAM)との違い

アクセス管理とアイデンティティ管理(IAM)はどちらもセキュリティに関する重要な概念ですが、目的や機能が異なります。

アクセス管理の目的は、特定のシステムや情報へのアクセスを制御することで、情報漏えいや不正アクセスを防ぐことです。

一方、アイデンティティ管理はユーザーの身元を確認し、適切なアクセス権限を付与するプロセスで、ユーザーの登録や認証、認可を包括的に管理することで、組織内のセキュリティを強化することを目的としています。

アクセス制御との違い

アクセス制御は、ファイルやデータベースの特定の部分に対するアクセスを制限するための機能であり、アクセス管理全体の中で実際にアクセスを制御する役割を持ちます。

一方、アクセス管理はアクセス制御を含む広範な管理手法であり、組織全体のセキュリティポリシーの一環として、包括的にアクセスを管理することを目的としているわけです。

アクセス管理の目的

アクセス管理の目的は以下の3つです。

  •  ・情報漏えいの防止
  •  ・内部不正やヒューマンエラーの抑止
  •  ・ゼロトラストセキュリティの実現

それぞれの目的について詳しく解説します。

情報漏えいの防止

アクセス管理の1つ目の目的は、情報漏えいの防止です。

社員全員が全てのデータにアクセスできる状態では、意図しない情報漏えいや不正利用が発生する可能性があります。情報漏えいを防ぐためには、誰がどの情報にアクセスできるのかを厳密に管理することが欠かせません。

職務や役割に応じてアクセス権限を細かく設定し、必要最小限の情報にのみアクセスできるようにすることで、意図しない情報漏えいや不正利用を未然に防ぐことができます。また、アクセスログの記録と監視を行うことで、誰がいつどの情報にアクセスしたかを追跡することができ、異常なアクセスがあった場合には迅速に対応することが可能です。

内部不正やヒューマンエラーの抑止

アクセス管理の2つ目の目的は、内部不正やヒューマンエラーの抑止です。

企業内での情報漏えいや不正行為は、外部からのサイバー攻撃だけでなく、内部の人間によって引き起こされることもあります。

アクセス権限を必要最低限の範囲に限定し、業務に必要な情報だけにアクセスできるようにすることで、内部不正を未然に防ぐことが可能です。また、定期的な権限の見直しやアクセスログの監視も欠かせません。

さらに、ヒューマンエラーによる情報の流出も、アクセス管理で抑制できます。たとえば、特定の操作に制限を設けることで、誤って重要なデータを削除してしまうリスクを減らすことができるわけです。

ゼロトラストセキュリティの実現

アクセス管理の3つ目の目的は、ゼロトラストセキュリティの実現です。

ゼロトラストセキュリティとは、「信頼せず、常に確認する」という考え方に基づいて、すべてのアクセスを疑い、確認することでセキュリティを強化する手法を指します。

アクセス権を持つユーザーだけが情報にアクセスできるようにし、アクセスのたびにユーザーの身元やデバイスの状態を確認することで、ゼロトラストセキュリティを実現することが可能です。

アクセス管理を怠ることで発生するリスク

アクセス管理を怠ることで発生するリスクは以下の4つです。

  •  ・使われていないアカウントからの不正アクセス
  •  ・過剰なアクセス権付与による情報流出
  •  ・誤操作による業務トラブルの増加
  •  ・管理ルールや責任者の不明確化

それぞれのリスクについて詳しく解説します。

使われていないアカウントからの不正アクセス

アクセス管理を怠ることで発生する1つ目のリスクは、使われていないアカウントからの不正アクセスです。

企業や組織では、従業員が退職したり異動したりした際に、アカウントが放置されることがあります。使われていないアカウントを放置すると、アカウントがセキュリティホールとなり、外部からの不正アクセスの原因となるわけです。

このようなリスクを回避するためには、定期的にアカウントの使用状況を確認し、不要なアカウントを削除する必要があります。また、アカウントの削除プロセスを明確にし、責任者を設けて管理するようにしましょう。

さらに、アクセス管理システムを導入することで、アカウントのライフサイクルを一元管理し、未使用アカウントの自動削除を設定することが可能です。人的ミスを防ぎ、セキュリティレベルを向上させることができます。

過剰なアクセス権付与による情報流出

アクセス管理を怠ることで発生する2つ目のリスクは、過剰なアクセス権付与による情報流出です。

業務に必要ではないアクセス権を従業員に与えると、誤操作や悪意のある行動によって機密情報や個人情報が漏洩する原因となります。

このようなリスクを回避するためには、定期的なアクセス権の見直しと、最小限の権限付与の原則を徹底することが重要です。また、誰がどの情報にアクセスしたかを監視することで、過剰なアクセス権付与を早期発見することができます。

誤操作による業務トラブルの増加

アクセス管理を怠ることで発生する3つ目のリスクは、誤操作による業務トラブルの増加です。

不適切なユーザーにアクセス権を与えていると、重要なデータが誤って削除されたり、書き変えられたりする恐れがあります。

このようなトラブルを防ぐためには、権限付与の際に二重チェックを行い、変更履歴を記録して問題発生時に迅速に対処できる体制を整えることが重要です。また、誤操作を防ぐための教育やトレーニングを実施し、従業員の意識を高めることも欠かせません。

管理ルールや責任者の不明確化

アクセス管理を怠ることで発生する4つ目のリスクは、管理ルールや責任者の不明確化です。

アクセス権の管理ルールが明確でないと、個々の従業員が独自の判断でアクセス権を変更するかもしれません。また、責任者が明確に決まっていない場合、問題が発生した際に迅速な対応ができず、被害が拡大する恐れがあります。

このようなリスクを避けるためには、明確な管理ルールの策定が不可欠です。また、責任者を明確にし、従業員全員にその役割を周知することで、アクセス管理の透明性を高めることができます。

アクセス管理の手順

アクセス管理の手順は以下の通りです。

  1.  1. アクセス要件の定義
  2.  2. ユーザー登録とアカウント発行
  3.  3. 利用状況のモニタリング
  4.  4. アクセス権の見直しとアカウント削除

それぞれの手順について詳しく解説します。

アクセス要件の定義

アクセス管理では、誰がどのリソースにアクセスできるのか、どのような条件でアクセスが許可されるのかを明確にすることが重要です。組織内で必要なリソースをリストアップし、それぞれに対してアクセス可能な従業員やグループを明確に定義します。

次に、特定の時間帯にのみアクセスを許可する、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可するなど、アクセスに必要な条件を設定します。

ユーザー登録とアカウント発行

ユーザー登録はアクセス権を持つ従業員の氏名や役職、所属部署、連絡先情報などを設定するプロセスで、アカウント発行は登録された従業員に対してシステムへのアクセス権を付与する作業を指します。

ここで重要なのは、アカウントを発行する際に、適切な権限を設定することです。過剰な権限を与えると、情報漏えいや不正アクセスのリスクが高まるため、従業員の役割に応じた最小限の権限を付与することが求められます。

利用状況のモニタリング

アクセス権の利用状況をモニタリングすることで、誰がいつどのリソースにアクセスしたのかを把握できます。不正アクセスを早期発見でき、迅速に対応することが可能です。

アクセス権の見直しとアカウント削除

不要なアクセス権を持つユーザーを特定し、アクセス権の見直しを行うことで、情報漏えいや不正アクセスのリスクを低減できます。

また、使われていないアカウントが残っていると不正アクセスの入口となる可能性があるため、定期的にアカウントの使用状況を確認し、不要なアカウントは速やかに削除しましょう。

アクセス管理を実施する方法

台帳による手動管理

エクセルやスプレッドシートなどを利用し、誰がどのシステムやデータにアクセスできるかを一覧化することで、アクセス管理を手動で実施することができます。

手動管理の利点は、初期コストが低く、特別なシステムを導入する必要がない点です。また、管理者が直接アクセス権を設定するため、細かく調整することができます

ただし、ユーザーが増えるたびに台帳を更新する必要があり、誤入力や更新漏れが発生するリスクもあるため、定期的な見直しと更新が必要です。

アクセス管理システムによる管理

アクセス管理システムを導入することで、ユーザーのアクセス権を一元的に管理でき、リアルタイムでアクセス権の使用状況をモニタリングすることが可能です。

また、ユーザーの認証や権限付与の自動化により、誤ったアクセス権の付与を防止することができます。さらに、特権アクセス管理(PAM)機能を備えている場合、管理者権限を持つユーザーの活動を監視し、リスクを最小限に抑えることが可能です。

アクセス管理システム選びのポイント

アクセス管理システム選びのポイントは以下の3つです。

  •  ・自社の業務システムとの連携性
  •  ・運用しやすいUI
  •  ・提供形態の確認

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

自社の業務システムとの連携性

アクセス管理システム選びの1つ目のポイントは、自社の業務システムとの連携性です。

既存の業務システムとアクセス管理システムが連携できないと、手作業による二重入力の手間がかかり、入力ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。

業務システムとの連携性を確認するためには、APIを利用した連携が可能かどうかや、システム間のデータ互換性があるかを確認することが重要です。また、アクセス管理システムが提供する連携機能や導入事例を調査することで、どの程度の連携が可能かを具体的にイメージすることができます。連携できるかが分からなかった場合には、ベンダーに直接問い合わせて、連携に関する技術的なサポート体制を確認しましょう。

運用しやすいUI

アクセス管理システム選びの2つ目のポイントは、運用しやすいUIです。

直感的に操作できるアクセス管理システムを導入することで、日常の運用ミスが減少し、業務効率が向上します。操作が不慣れな従業員でも、短期間でシステムを使いこなせるようになるでしょう。

提供形態の確認

アクセス管理システム選びの3つ目のポイントは、提供形態の確認です。

アクセス管理システムの提供形態には、クラウド型とオンプレミス型の2つがあります。

クラウド型はインターネットを通じて利用する形態で、初期費用が低く、導入が迅速に行えるのが特徴です。一方、オンプレミス型は自社のサーバーにシステムをインストールして運用する形態で、セキュリティやカスタマイズ性に優れています。

自社のITインフラや運用体制に適しているかを確認し、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶかを検討しましょう。たとえば、オンプレミス型の場合は、サーバーの設置スペースや運用管理のリソースを確保する必要があります。

まとめ

今回は、アクセス管理の概要や目的、実施する方法、手順、システム選びのポイントについて解説しました。

情報漏えいや不正アクセス、ヒューマンエラーを防止するには、適切なアクセス管理が欠かせません。アクセス管理システムを導入することで、手動によるアクセス管理の課題を解消でき、効率的にアクセス管理を実施することができます。

本記事で解説したアクセス管理の手順やシステム選びのポイントを参考に、より効果的なアクセス管理を実現しましょう。

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