プライベートクラウド管理のすゝめ② - 其の壱

作成日 2014/6/20
更新日 -

ネットワーク管理者編 - 其の壱

ネットワークの課題と理想的な企業ネットワークとは?

ネットワーク仮想化特集において、現状の一般的な企業ネットワークでの技術的な課題を挙げました。

 

日々増え続けるスイッチに対するネットワーク管理者の負担および運用コストという従来からの課題に加えて、サーバ仮想化や無線LANといった新たな技術の普及によって、一つのサーバ上に動作するOSおよびアプリケーションが高密度化しており、データセンター・企業サーバルームにおけるネットワーク帯域が不足し始めていること、ネットワークに接続される機器が接続するスイッチが頻繁に変化する状況になりつつあること、などとさらなる課題がネットワークの設計・運用を複雑化させています。

 

スイッチとともに増大する管理者負担・運用コスト

 

 

 

このような課題に対して、様々なネットワーク技術が提唱・標準化されており、対応した製品が主要スイッチベンダから提供されています。複数のスイッチを一元的に管理するテクノロジー(2014年06月現在)としては、Cisco社のFabric Extender(最大1+24台まで)、Brocade社のVirtual Cluster Switching(最大32台まで)、Juniper社のバーチャルシャーシ(最大10台まで)などが提供されており、全帯域を有効活用できるテクノロジーとしてTRILLなどを実装したスイッチも提供されています。ただし、これらのテクノロジーは先進的なネットワーク技術と各ベンダは捉えており、ユーザに対して高付加価値な機能としてハイエンドなスイッチのみに対応している現状となります。そして、TRILLなどの標準化された技術で実装されたとしても、他の競合ベンダのスイッチとの相互接続性をサポートしているベンダも存在しない状況です。つまり、これらのテクノロジーのメリットを享受するためには、全てをハイエンドなスイッチでネットワークを構成する必要があり、かつ全てのスイッチを単一のベンダに揃える必要があります。ハイエンドのスイッチを多数購入出来るだけの資金を十分に保有しているのであれば、スイッチベンダより提供されているテクノロジーは素晴らしいものですし、単一のベンダで構成することにより保守フェーズにおけるエスカレーション先を一つにできるため、その選択をすることが適切な場合もあります。一方で、単一のベンダで全てのネットワークを構成することは、日々新しい技術が生まれており競争および淘汰の激しいIT業界においてリスクが高く、また市場の競争の恩恵を得にくくなるベンダロックインの状態に至る可能性もあります。

 

ここで、このような様々なテクノロジーを組み合わせて実現しなくてはならないネットワークとはどのようなものなのかを考えてみます。これらのネットワーク技術が生まれた原点として、そもそもネットワークに対してユーザが要求していることは何でしょうか?経営者の観点からは機器及び人件費などのコストが削減可能なこと、ネットワーク管理者の観点からは常に通信可能であり、業務変化に応じた様々な要求に答えられ、可能な限り自動化されて効率な運用が可能なこと、と捉えます。その要件をさらに具体化してみると、ローエンド・ミッドレンジ・ハイエンドの様々な機種で構成されたとしても設計や実装が複雑化せず、運用管理が属人化しないようなシンプルなネットワーク、一部のスイッチに故障が生じても業務継続が可能な耐障害性を備え、業務の拡大に併せてスケールする柔軟なネットワーク、現在のネットワークトポロジやトラフィック状態が可視化され、状態変化が発生した場合に通知されるように機械的な管理運用を可能な限り自動化するネットワークが求められています。

 

ユーザが求める理想的なネットワーク

 

 

次回は、このようなネットワークを実現する上で必要となるテクノロジーを精査し、その手段としてSDN/OpenFlowが有効なことをご紹介します。

 

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